第三章「大切なものを守るために」
事件簿②
「アンケートに答えただけなのに。」
昔々の、大昔。
まだ「個人情報」という言葉を、今ほど日常で意識していなかった頃。
そう。
ある程度、性善説で生きてこられた時代のお話です(笑)。
当時、若くて、まだお金もなかった私。
そんな頃、生活用品のあれこれがもらえると話題になっていた場所がありました。
ハウジングセンターです。
サランラップ。
タンブラー。
洗いやすそうなタッパー。
「え?これ、もらえるの?❤」
家を建てる予定?
ありません🤣
でも、
「せっかくだから、ちょっと見ていこう。」
「あっちも何かもらえるみたい❤」
そんな調子でモデルハウスを回っていました。
ただし。
何かをもらうためには、アンケートを書く。
・名前
・住所
・電話番号
そのほかにも、いくつかの質問。
当時の私は、それほど気にもせず書いていました。
そして後日――。
届くわ届くわ、DMの山🤣
そりゃそうです。
自分で住所を書いて渡したんですから(笑)。
今になって思えば、
タッパーを抱えて喜んでいる場合ではなかったのかもしれません🤣
時代は変わりました。
あれから、ずいぶん時間が経ちました。
今では、アンケートも紙だけではありません。
スマートフォンを見ていると、
「アンケートに答えて○○ポイント!」
「簡単な質問に答えるだけでポイントGET!」
「査定を申し込むと○○ポイントプレゼント!」
「応募した方の中から商品券をプレゼント!」
いろいろな形で目にします。
ポイントがもらえる。
商品券が当たるかもしれない。
ちょっとした粗品がもらえる。
嬉しいですよね。
私だって、
もらえるものなら、もらいたい🤣
でも――。
昔の人は、言い得て妙な素晴らしい言葉を残してくれていました。
「タダより高いものはない。」
さて。
本当に、それは「タダ」なのでしょうか。
500ポイント、もらえます。
たとえば、
「アンケートに答えると500ポイント!」
1ポイント=1円として使えるなら、500円分です。
500円。
ちょっと嬉しい。
アンケートくらいなら……。
名前を入力して。
住所を入力して。
電話番号を入力して。
メールアドレスを入力して。
いくつかの質問にも答えて。
最後に――ポチッ。
500ポイントGET~❤
……。
ちょっと待って!
500ポイントもらえることは、しっかり見ていました。
では――。
あなたは、その500ポイントと引き換えに、何をどこに渡しましたか?
もし、スマホの中じゃなかったら?
少しだけ場面を変えてみます。
知らない人から500円玉を渡されて、
こう言われたとします。
「この500円、差し上げます😊」
「その代わりに、お名前と住所と電話番号とメールアドレスを教えてください。」
……。
教えますか?
おそらく、
「なんで?😨」
と思う人も多いのではないでしょうか。
ところが、それがスマートフォンの中で、
「500ポイントプレゼント!」
という形になると、その違和感に気づきにくくなることがあります。
だから大切なのは、
「何がもらえるか」だけではなく、「何をどこに渡すのか」も一緒に見ることです。
その情報、どこへ行く?
ここで、少しだけ大切なお話をします。
アンケートに答えたり、キャンペーンに応募したりすること自体が危険なわけではありません。
個人情報保護委員会では、ホームページの入力画面やアンケートなどで本人から直接個人情報を取得する場合、原則として、その情報を何のために使うのかを本人に示す必要があるとしています。
たとえば、懸賞付きアンケートで集めた連絡先を、抽選や賞品の発送だけに使う。
そうした使い方であれば、何のために必要なのかも分かりやすいですよね。
でも、新しいサービスの案内や、別の会社への情報提供などは、同じように「当然分かる目的」とはいえない場合があるとされています。
つまり、
見るべきなのは、アンケートそのものではありません。
誰が情報を受け取るのか。
何のために使うのか。
そこです。
実際に、こんな相談もあります。
個人情報保護委員会には、こんな相談例が掲載されています。
SNSで、「プレゼントが当たる!」という広告を見て応募。
氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどを入力しました。
サイトには、その情報は懸賞商品の発送に必要な範囲で使用すると書かれていました。
ところがその後――。
懸賞とは関係のない商品が、同じ事業者から突然自宅に届いた。
そんな相談です。
もちろん、
プレゼント企画に応募すると、必ずこうなる。
という話ではありません。
ここで知ってほしいのは、
入力した情報は、「送信」を押した瞬間に相手へ渡るということ。
だからこそ、押す前に見る。
大きな会社の名前が見えていても。
いつも使っているSNS。
いつも買い物をしているサイト。
いつも利用しているポイントサービス。
その画面から始まったキャンペーンなら、
なんとなく、「いつものところだから大丈夫。」と思うこともあるかもしれません。
でも、リンクを押して別のページへ移動したら、そこで情報を受け取る事業者が誰なのかを、一度確認してください。
複数の会社が共同でアンケートなどを行う場合にも、個人情報保護委員会は、各社が取得することが分かる形にした上で、それぞれ利用目的を明示する方法などを示しています。また、一社が取得した個人データをその後ほかの共催会社へ提供する場合は、原則として本人の同意が必要とされています。PPC
難しい法律を覚える必要はありません。
見るところは、もっと簡単です。
今、私は誰に送ろうとしている?
そして、
何のために使われる?
🌸今回の「ちょっと待って!」
ポイント。粗品。プレゼント。商品券。「無料」。
そんな言葉を見つけると、
どうしても私たちは、
「何がもらえるんだろう❤」
に目が行きます。
でも、ポチッと送信する前に――。
「私は、何をどこに渡すんだろう?」
そこも見てください。
あなたが入れようとしているその情報、このプレゼントをもらうために、本当に必要な情報なのか。
誰が受け取るのか。
何のために使われるのか。
確認してから、
ポチッ。
でいいのです。
「タダより高いものはない。」
若い頃の私は、サランラップやタンブラーやタッパーをもらって、喜んでいました🤣
今なら、ちょっと違うところも見ます。
もらえるものと、渡すもの。
その両方を見てから、自分で決める。
人を疑って生きる必要はありません。
ポイントをもらうことを怖がる必要もありません。
でも、
自分の情報を、誰にどこまで渡すのか。
それを決めるのは、自分です。
事件簿①では、
「これ、話して大丈夫?」
今回は、
「これ、入力して大丈夫?」
送信ボタンを押す、その前に。
ちょっと待って!
その数秒が、
自分の大切なものを守ることにつながるかもしれません。
📚この記事の参考資料
個人情報保護委員会
「申込書やホームページ上のユーザー入力画面で連絡先を記入させる場合、当該連絡先の利用目的を明示する必要がありますか。」
個人情報保護委員会 Q&Aを見る
個人情報保護委員会
「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」
ガイドラインを見る
個人情報保護委員会
「個人情報保護法相談ダイヤル」相談内容例
相談事例を見る
個人情報保護委員会
「複数の企業で申込受付やアンケートを共同で実施する場合」
個人情報保護委員会 Q&Aを見る