Kotonoha 言の葉だより 第三章「大切なものを守るために」葬儀費用編 事件簿・第二部「戒名・諡(おくりな)」

第三章「大切なものを守るために」葬儀費用編 事件簿・第二部「戒名・諡(おくりな)」

― 立派な戒名を付けてあげたい。でも、お財布が…… ―

「亡くなった父には、立派な戒名を付けてあげたい」
そんな家族の気持ちと、現実のお金事情。

今回は、戒名の種類とお布施の関係についてのお話です。

※今回は仏教の戒名を中心にご紹介します。仏教では宗派によって呼び方が異なり、浄土真宗では「法名(ほうみょう)」、日蓮宗では「法号(ほうごう)」という、その宗派によってなんともたくさんの呼ばれ方があります。また、神道では「諡(おくりな)」という呼び方がありますが、それぞれ意味や扱いは異なります。


■ 事件簿「お父さんには、立派な戒名を」

父の葬儀を控えた娘さん。
生前、家族のために一生懸命働き、家族を支えてくれた父。
『お父さんには、本当にお世話になったからね。立派な戒名を付けてあげたいわ』
母の言葉に、娘も頷きます。

ところが、お寺に相談すると、聞き慣れない言葉が次々と出てきました。

「信士・信女」「居士・大姉」「院号」……。
どうやら、戒名にはいくつかの種類があるらしい。
そして、希望する戒名について、お布施の目安を聞いた母娘は顔を見合わせました。
「えっ!? そんなに違うんですか?」
帰り道、娘が小声で一言。
「お母さん、立派にしてあげたい気持ちは分かるけど……」
母は深いため息。
『そうなのよ。でも、お父さんにさぁ、「安い方でいい?」とも伝えづらいじゃない……💦』

気持ちは立派な戒名。でも、お財布は現実を見ている。

さて、どうしたものか……。


🔷 そもそも、戒名って何?

戒名とは、仏教で戒を受けた人に授けられる名前のこと。
亡くなってから授かるイメージがありますが、本来は生前に授かることもできるものです。
また、宗派によって名前の付け方や考え方は異なります。

🔷 戒名には種類があるの?

例えば、戒名の末尾に付く「信士・信女」「居士・大姉」といった呼び名を「位号(いごう)」といいます。
一般に、居士・大姉は信士・信女より厚い信仰などを表すものとして扱われます。
また、戒名の前に「○○院」と付くものを「院号(いんごう)」といいます。

院号と位号は別の要素なので、「○○院……○○信士」という組み合わせもあります。

こうした違いは、故人の生前の信仰や寺院への貢献などに関係するもので、単純に文字数が多いほど立派という話ではありません。

例えば、生前から熱心に仏教を信仰し、お寺の行事に長年参加していた方。
寺院の役員として運営を支えていた方。
また、お寺の修繕などに多額の寄付をしていた方も、寺院への貢献として評価される場合があります。

つまり、信仰や活動だけでなく、金銭的な支援も判断材料になることがあるのです。


🔷 「寺院への貢献」とお金の関係

では、寄付と戒名には、本当に関係があるのでしょうか?

実際に、浄土宗の善照寺では、院号を授ける際の功績として、寺院役員としての活動や寄付金額などを挙げています。

また、浄土真宗本願寺派には、20万円以上の懇志(宗門への寄付にあたるお金)を納めることが、院号授与につながる制度があります。この懇志は、同宗派の正宣寺が院号の代金として受け取るものではなく、宗門や本山へ納められるものです。

金銭的な貢献が院号の授与に関係する制度は、実際に存在します。

一方で、すべての寺院が同じ基準というわけではありません。
信仰や活動を重視する寺院もあり、戒名を単純にお金で買うものと考えるのは正確ではないのです。


🔷 じゃあ、戒名はいくらかかるの?

ここが一番知りたいところですよね。(笑)
ところが、全国共通の料金表があるわけではありません。

戒名の種類によってお布施の目安が変わる場合もあれば、葬儀の読経などと合わせて案内される場合もあります。
そのため、金額だけを並べても、何が含まれているのか分からなければ比較できません。

お寺に確認するなら、

  • どのような戒名を授かることになるのか。
  • 戒名に関するお金は、葬儀のお布施に含まれているのか。
  • 希望する戒名の場合、総額はいくらになるのか。

この3点を確認しておきたいところです。

また、先祖代々のお寺がある場合は、戒名の種類や今後の法事についても、菩提寺に相談しておくと安心です。


🌸今回のまとめ

・戒名には、位号や院号などの違いがあります。
・寺院への貢献には、寄付などの金銭的な支援が含まれる場合もあります。

故人を大切に思う気持ちと、お金の問題。どちらも置き去りにせず、納得できるまで確認しておきたいですね。


🌸編集後記

檀家離れが進むなか、お寺の維持や修繕にお金がかかることは理解しています。
ただ、個人的には「寺院への貢献」という言葉が、少し気になります。

お寺の庭掃除や行事への参加、長年のお付き合い。
もちろん、これらも立派な貢献です。
でも、それだけで「立派な戒名」がいただけるのなら、皆さん喜んで参加するのではないでしょうか。(笑)

実際に、お寺の修繕費として、檀家の一人に100万円の寄付を求めたという話も聞いたことがあります。
こうした話を耳にすると、「寺院への貢献=結局は金額なの?」と感じてしまう方も少なくないのではないでしょうか。

もちろん、すべてのお寺がそうだと言いたいわけではありません。

これからも法事を営み、そのお寺とお付き合いを続けていくのであれば、故人に戒名を授けていただくことには意味があると思います。

でも、故人を大切に思う気持ちと、戒名に関わる金額の問題は、やっぱり別の話。

……正直、少しモヤッとはしますね。(笑)

さて、次回はいよいよ三部作の最終話。

事件簿・第三部「僧侶派遣(レンタル坊主)」

今や、お坊さんもインターネットでお願いできる時代。
でも、ちょっと待って!
ネットで頼んだお坊さん、菩提寺との関係は大丈夫?

次回は、便利さと費用の裏側にある、知っておきたい注意点をお届けします。🌸


📚 情報源

・八事山興正寺(名古屋市)「戒名とはなんですか。居士、信士などいくつかありますが違いはなんですか。」
https://www.koushoji.or.jp/faq/faq-76/

・浄土宗 善照寺「仏事Q&A」
https://www.zenshoji.or.jp/virtual/butsuji/

・浄土真宗本願寺派 正宣寺「法名・院号」
https://www.shosenji.or.jp/butsuji/houmyo.html