Kotonoha 言の葉だより 第三章「大切なものを守るために」葬儀費用編

第三章「大切なものを守るために」葬儀費用編

事件簿 1.

「家族葬50万円」のはずが、200万円超。

―その広告の金額で、本当にお別れできますか?―

🌸 最近、葬儀会社のCMをよく見かけませんか?

若い世代はSNSやネットニュースから。
大人世代はテレビや新聞から。
もちろん人それぞれですが、世代によって情報との出会い方には違いがあるように感じます。

そして最近、テレビを見ていると、葬儀会社のCMが目に留まることはありませんか?
「家族葬」「低価格」「安心のセットプラン」
そんな言葉を耳にすると、もしものときのために、少し調べておこうかなと思う方もいらっしゃるでしょう。

でも、ここで一つ質問です。
そのCMに出ている金額で、本当に希望する葬儀ができるのでしょうか?


🌸 「50万円」のはずが、200万円を超えた

国民生活センターには、葬儀費用に関する相談が寄せられています。

その一つが、「家族葬50万円」という広告を見て葬儀を依頼した方の事例です。
ところが、実際には高額なプランを案内され、見積書には明細がなく、追加費用も発生。
最終的な金額は200万円を超えたというのです。

50万円のつもりが、200万円超。
その差は150万円以上。

ただし、どのサービスにいくら追加されたのか、詳しい内訳は公表資料から確認できません。


🌸 ほかにもあった、広告価格と実際の金額の違い

これは、一件だけの話ではありません。
公表されている相談事例には、次のようなものもあります。

【事例1】約40万円の広告から、250万円の契約へ
家族葬約40万円からという広告を見て依頼したところ、オプションを加えた見積もりは約300万円に。
最終的に250万円のセットプランを契約したという相談です。

【事例2】約30万円の一日葬が、約80万円に
一日葬の広告を見て依頼したものの、実際の契約額は約80万円になり、含まれるサービスも広告の内容と違っていたという相談です。

【事例3】40万円のつもりが、120万円のプランに
夫を亡くした直後、看病疲れや睡眠不足の中で葬儀の契約をしたという相談もあります。
大切な人を亡くしたばかりの状況で、冷静に金額や内容を判断することがどれほど難しいか。
考えさせられる事例です。

※いずれも公表された相談・紛争事例を要約したものです。相談内容がすべて事実認定されたという意味ではありません。また、事例ごとに事情は異なります。


🌸 「家族葬」は、安い葬儀という意味ではありません

ここで、ぜひ知っていただきたいことがあります。

家族葬とは、主に家族や親しい方を中心に行う葬儀のこと。
必ずしも、費用を安く抑えることを意味する言葉ではありません。

人数が少なくても、棺や祭壇、搬送、安置、火葬などに費用がかかります。
また、故人が好きだった花をたくさん飾りたい。
きれいに身支度を整えて送り出したい。
思い出の音楽を流してあげたい。
そんなご家族の希望によって、費用が増えることもあります。

でも、それは決して無駄なことではありません。
大切な人に何をしてあげたいかは、ご家族が決めることなのですから。


🌸 安いプランが、最後まで安いとは限らない

例えば、故人の身体を洗い清める「湯灌(ゆかん)」。

ここで、ちょっとひと息(笑)

一昔前、『おくりびと』という映画がありましたよね。
本木雅弘さんが演じた納棺師のお仕事を通して、亡くなった方の身支度を整える専門のお仕事があることを、初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、葬儀には「納棺」のほかに、「湯灌」というものもあります。
湯灌は、亡くなった方のお身体をお湯で洗い清めること。
納棺は、身支度を整えた故人を棺に納めること。
葬儀会社によってサービスの内容は異なりますが、こうした一つひとつにも費用がかかる場合があります。

葬儀会社の公開料金には、湯灌が88,000円、棺の周りを飾る花が33,000円という例があります。
この二つだけでも121,000円。
一方、別の葬儀会社では、湯灌などが最初から含まれたプランも用意されています。
つまり、安い基本プランに希望を一つずつ追加するより、最初から希望する内容が含まれたプランの方が、結果的に安くなる可能性もあるのです。
もちろん、どちらが安いかは、同じ条件で見積もりを比較しなければ分かりません。
大切なのは、広告の数字だけで決めないこと。
「自分たちが希望するお別れには、最終的にいくらかかるのか」
そこまで確認して、初めて比較ができるのです。


🌸 悲しみの中で、判断を迫られるからこそ

交通事故や突然の病気で、大切な人を亡くしてしまうことがあります。
また、長い闘病生活の末にお別れを迎えた場合でも、ご家族は看病による疲れや深い悲しみを抱えているかもしれません。

そんな状況の中、ご家族は葬儀会社を選び、葬儀の内容や費用を決めるなど、短い時間でいくつもの決断をしなければなりません。

だからこそ、元気なうちに家族で話し合い、可能であれば複数の葬儀会社に相談しておくことが大切です。
「そんな話、まだ早いよ」
そう思われるかもしれません。
でも、葬儀の準備は、亡くなることを待つためのものではありません。
大切な人を、納得できる形で見送るための準備なのだと思います。


🌸 今回のまとめ

  • 「家族葬」は、必ずしも低価格を意味する言葉ではありません。
  • 広告価格と最終的な支払総額は、異なる場合があります。
  • 希望する内容をそろえて、複数の葬儀会社の見積もりを比較しましょう。

🌸 葬儀費用編・保存版のお知らせ

今回の事件簿シリーズが終わったあと、葬儀費用について詳しく解説する
『葬儀費用って、結局いくらかかるの?』
―知らないと分からない、葬儀のお金の話―
を公開する予定です。

棺・祭壇・安置・湯灌・火葬、そしてお布施。
一つひとつの費用を、公開されている料金や調査資料をもとに整理していきます。
「何に、いくらかかるの?」
そんな疑問に答えられる記事を目指しています。


📚 情報源

本記事で紹介した葬儀費用に関する相談事例は、独立行政法人国民生活センターが公表した資料をもとに紹介しています。

①「家族葬50万円」のはずが、総額200万円超/「一日葬約30万円」のはずが、約80万円
独立行政法人 国民生活センター
『依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-』
2026年6月3日公表(報告書本文・事例2、事例3)

②「家族葬約40万円」の広告から、約250万円の契約へ
独立行政法人 国民生活センター
見守り新鮮情報 第475号
『もしもの時に慌てないように! 葬儀サービスのトラブル』
2024年2月14日公表

③「家族葬40万円」のつもりが、最終的に約176万円の請求を受けたとする紛争
独立行政法人 国民生活センター
『国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成30年度第1回)』
2018年6月21日公表
事案15「葬儀代の返金に関する紛争」

④ 湯灌の公開料金
ライフサポート公式サイト
『納棺(湯灌)について』
湯灌の儀・フルセット:88,000円(税込)

⑤ 生花の公開料金
アビコセレモア公式サイト
『ご供花・ご進物・ご弔電のご注文』
供花:33,000円(税込)の商品例


※紹介した相談事例は、相談者・申請者の申し出などをもとに公表されたものです。個別の事業者について、違法行為が認定されたことを意味するものではありません。

※葬儀会社の料金は2026年10月9日に公式サイトで確認した掲載情報です。地域・プラン・サービス内容などによって異なり、変更される場合があります。

※料金の組み合わせによる計算例は、実際の相談事例や特定の葬儀会社の見積もりを示すものではありません。