Kotonoha 言の葉だより 第三章「大切なものを守るために」

第三章「大切なものを守るために」

個人情報編 事件簿④

「住所なんて載せてないのに。」

「今日はお気に入りのカフェで休憩中☕」
「仕事終わったー!今から帰ります。」
「20**年、*月*日、イベント会場でお待ちしてまーす!」
「今日は家からライブ配信します❤」

SNSでは、よく見かける投稿です。
住所を書いているわけでもない。
最寄り駅を書いているわけでもない。
マンションの名前なんて、もちろん書いていない。

だから、自分の住んでいる場所なんて、知られるはずがない。
そう思っていませんか?

でも今回、最初にお伝えしたいのは、

住所を書いていないことと、住所を知られていないことは、同じではない。

ということです。


昔は、SNSなんてありませんでした。

少し昔のお話です。
まだスマートフォンも、地図アプリもなかった頃。
郵便や荷物を届ける人たちは、担当する地域の地名や番地を覚え、毎日のように町を回っていました。

仕事をするためには当然、
「誰が、どこに住んでいるのか」
という情報を扱うことになります。
それは今も同じです。

荷物を届けてもらう。食事を届けてもらう。修理に来てもらう。
さまざまなサービスを利用するために、私たちは住所を誰かに預けています。

つまり――

住所を一度も誰にも教えずに生活することは、ほとんどできません。

だから問題なのは、
「住所を教えること」そのものではありません。
必要なサービスを受けるために、必要な情報を預ける。
それは、ごく普通のことです。

大切なのは、
その情報が、何のために必要なのか。
そして、どのように扱われるのか。

そこを知ることです。


そして今は、自分から発信している情報もあります。

写真の背景。
窓から見える景色。
よく利用する駅。
いつも行くお店。
投稿する曜日や時間。
ライブ配信中に聞こえる音。

一つひとつを見れば、住所とは関係ないように見えるものばかりです。
けれど警視庁は、SNSに投稿した写真の風景から自宅を特定された事例があるとして、顔や地名などが写っていない写真でも注意するよう呼びかけています。

自分では、「住所なんて載せてない。」と思っていても、住所につながるヒントまで何も出していないとは限らないのです。


「今ここにいます」だけではありません。

SNSやライブ配信の魅力の一つは、
“今”を誰かと共有できること。
でも、
「今日は○○にいます。」
という現在地だけが、居場所の情報ではありません。
「20**年、*月*日、イベント会場でお待ちしてまーす!」
これは、未来のある日時に、自分がそこにいる予定を伝えていることになります。
もちろん、仕事やイベントなどで場所や日時を告知する必要がある人もいます。
イベントの告知が悪い、という話ではありません。
大切なのは、
公開する必要がある情報と、公開する必要のない生活情報を分けて考えること。

そして、自分が発信した情報を、誰が見ているのかまでは分からない。ということです。

政府広報でも、SNSやブログなどの情報から居場所を特定して待ち伏せするケースを紹介し、位置情報をオフにすることや、自宅・勤務先・学校などを推測できる情報を載せないこと、リアルタイムでの投稿をなるべく避けることなどを呼びかけています。


住所を知るきっかけはSNSだけではありません。

ここが、今回もう一つ考えていただきたいところです。
私たちは日常生活の中で、
いろいろな人やサービスに住所を預けています。
だから、
「SNSに住所を載せていないから大丈夫。」
それだけでは、自分の居場所を守ったことにはなりません。

そして、もし――
最近、自宅の近くで同じ人を何度も見かける。
帰宅する時間になると人がいる。
自宅付近をうろついている。
行く先で待ち伏せされる。
自分の行動を知っているようなことを言われる。
そんなことが続いたら、
「なんか変だな。」
その違和感を、
「気のせいかな」で終わらせないことも大切です。

政府広報や警察庁でも、つきまとい、待ち伏せ、住居等の付近での見張りやうろつきなどについて、ストーカー行為等として注意を呼びかけています。


昔からあったこと。今だから増えた情報。

SNSがなかった時代にも、
誰かの生活を見ていれば、生活パターンを知られてしまうことはありました。
そして今は、SNSやライブ配信を通して、たくさんの人とつながれる時代です。
魅力的な発信を続ければ、楽しみに待ってくれる人が増えることもあります。
それは、発信する人にとって嬉しいことです。

でも――

「もっと見たい」と思う人の中に、
「もっと知りたい」
「どこにいるのか知りたい」
と思う人が現れないとは限りません。

あなたが届けたかったのは、どこまでの情報でしょう。


🌸今回の「ちょっと待って!」

SNSに投稿する前に。ライブ配信を始める前に。そして日常の中で、
「なんか変だな」と感じたときにも。
少しだけ立ち止まってみてください。

  • 写真の背景から場所が分かりませんか?
  • 今いる場所をリアルタイムで伝えていませんか?
  • 同じ場所・曜日・時間を繰り返し公開していませんか?
  • 自宅や勤務先につながる情報が写っていませんか?
  • 最近、自宅の近くで同じ人を何度も見かけていませんか?

そして――
あなたの住所を、誰が知っているか知っていますか?
すべてを把握することなんて、できないと思います。
だからこそ、自分から出さなくてもいい情報は、出さない。

そして、「おかしい」と感じた自分の感覚を、無視しない。
誰かを疑って生きるためではありません。自分の生活を、自分で守るためです。

住所を書かなければ安心。誰とも関わらなければいい。
そこまで神経質になっていたら、この世の中、不自由だらけです(笑)。
それよりも、
あなた自身が幸せな毎日を過ごせるように、
自分を守るためのセキュリティーについて、もう一度立ち止まって考えてみる。

「これくらいなら大丈夫かな?」
そう思ったときに、
「ちょっと待って。」
立ち止まって考えたその数秒が、
あなた自身の身を守ることにつながります。


📚この記事の参考資料

警視庁「個人情報流出防止」
SNSに投稿した写真の風景から自宅を特定された事例などについて注意喚起。
警視庁「個人情報流出防止」

政府広報オンライン「ストーカー行為は犯罪です!迷わず警察に相談を」
SNSなどから居場所を特定する手口や、リアルタイム投稿を避けるなどの対策を紹介。
政府広報オンライン「ストーカー行為は犯罪です!迷わず警察に相談を」

警察庁「ストーカー被害を未然に防ぐための情報発信ポータルサイト」
つきまとい、待ち伏せ、見張り、うろつきなどについて紹介。
警察庁「ストーカー被害を未然に防ぐための情報発信ポータルサイト」