Kotonoha 言の葉だより 第三章「大切なものを守るために」

第三章「大切なものを守るために」

― はじめに ―

人には誰しも、
心が弱ってしまう。誰かに頼りたい。
そんなときがあります。

・大切な人を亡くしたとき。
・将来が不安になったとき。
・一人で老後を考え始めたとき。
・家族に迷惑をかけたくないと思ったとき。

誰かに頼ることは、決して悪いことではありません。
むしろ、一人ではできないことを誰かに託すことは、あなたが生きていくうえで必要なことでもあります。

だからこそ、誰を頼るのか。

そこを間違えてしまったとき、
「助けてほしい」という気持ちが、
誰かにつけ込まれる入口になってしまうことがあります。

「私は大丈夫。」
「そんなものには騙されない。」
そう思っている方も、多いのではないでしょうか。

でも、終活について調べてみると――
私たちが思っている以上に、身近なところでさまざまなトラブルが起きています。
「いらない物を整理しておこう」
「家族に迷惑をかけないよう、葬儀の準備をしておこう」
「そろそろ、お墓のことも考えておこう」
「一人だから、これからのことを誰かにお願いしておこう」
どれも、自分や家族のために始めたことです。
ところが、その先でトラブルに巻き込まれてしまう人がいます。

終活には、どんなトラブルがあるのでしょう?

たとえば――

不用品の整理。
「何でも買い取ります」と訪ねてきた業者から、貴金属や宝石まで売るよう求められる。

葬儀。
広告で見た金額なら大丈夫だと思っていたのに、実際の費用は大きく膨らんでしまった。

墓じまい。
お墓を整理しようとしたところ、思いもよらない金額を求められた。

身元保証や死後事務。
これからのことを安心して任せるために契約したはずなのに、契約内容や解約をめぐってトラブルになる。

住まいや財産。
「この家に住み続けられますよ」という言葉を信じて契約した結果、思っていた状況とは違ってしまう。

ほかにも、遺品整理、供養、デジタル終活など、注意したいことがあります。

この第三章では、こうした事例をひとつずつ取り上げながら、

・現代社会で一体、何が起きているのか。
・契約する前に、どんなところに気をつければいいのか。
そして、
・大切なものを守るために、私たちに何を知っておくべきなのか。

それを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

サービスを利用しないことが、一番の安全策とは限りません。
必要なときには、誰かの力を借りることも必要です。
だからこそ大切なのは、

何も知らないまま、すべてを相手の言葉や目にしただけの情報に流されて任せてしまうのではなく、
まず自分自身が、そのサービスや契約について知ること。

そのうえで、
安心して任せられる、信頼できる人や会社を選ぶことです。

「私は大丈夫。」
そう思った方にこそ、
この第三章を読んでいただきたいと思います。
ご自身だけではなく、
ご家族や大切な方の中に、これから同じような悩みを抱える方がいるかもしれません。
この章を書くために、さまざまな資料や実際に寄せられた相談事例を調べました。
調べていく中で、何度も感じたことがあります。

それは、トラブルに遭った人たちが、
決して「何も考えていなかった人」ばかりではない
ということです。

・家族に迷惑をかけたくなかった。
・大切な人のために、きちんとしておきたかった。
・不安だったから、誰かを頼りたかった。

そんな気持ちから始まったことが、
思いもしなかったトラブルにつながってしまうことがあります。
誰かを頼ることが、怖いことなのではありません。
安心して誰かを頼るために、知っておいてほしいことがあります。

この第三章では、その一つひとつを、できるだけ難しい言葉を使わずにお伝えしていきます。
読んでくださった方が、いつか何かを選ぶときに、
「あ、この話、どこかで読んだことがある。」
そう思い出して、一度立ち止まるきっかけになってくれたら。
そして、自分自身や大切な人を守ることにつながってくれたら。

調べたことを伝える意味は、そこにあるのだと思っています。